【コニカル・フラットの選び方は?】コーヒーミルの刃の種類と味の違いをプロが徹底比較!
関西・大阪梅田から1駅の場所でコーヒー器具専門店・検査機関を運営している COFFEE LAB KOMAMEYAの小西です。

当店では100種類以上のコーヒーミル・グラインダーを揃え、それら全ての粒度分布を検証した上で味の違いを比較できる環境を揃えています。
では、コーヒーミルを選ぶうえで最も味わいに直結する要素とは何だと思いますか?
値段?性能?切れ味?
確かにそれらは、多少の違いを感じさせるかもしれません。
しかし、最も違いを感じさせるのが刃そのものの構造です。
同じ価格帯でも、刃の種類によって粒度分布・挽き目の均一性・風味の再現性は大きく異なります。
この記事では、プロの立場からコーヒーミルの刃の種類とその特徴・選び方を丁寧に解説します。
これを読めば「どのタイプを選べば自分に合うのか」が明確になり、後悔しないコーヒーミル選びができるはずです。
刃の種類について
コーヒーミルの刃は大きく分けて、コニカル(コーン)刃・フラット(ディスク)刃・プロペラ(ブレード)刃 の3種類があります。
また、コニカル刃とフラット刃にはそれぞれ金属製とセラミック製の2タイプがあります。

金属製は耐久性と切れ味に優れ、長期間安定した挽き目を保ちやすいのが特徴です。
一方、セラミック製は水洗いできて安価な反面、成型精度や構造の影響で個体差が大きく、微粉量や挽き目の粗さが安定しにくい傾向があります。

特に安価なモデルでは、セラミック刃による粒度のバラつきが顕著に見られることがあるため、価格だけで判断しないことが大切です。
次に各形状による違いを紹介します。
プロペラ(ブレード)刃
最もシンプルで安価なコーヒーミルに採用されているのがプロペラ刃です。
羽根のような金属のブレードが高速回転して豆を粉砕する仕組みで、構造が単純な分軽量でコンパクト。
収納性に優れ、価格も手ごろなため「まずは自宅で試してみたい」という方に選ばれる傾向があります。
基本的に挽き目の調整は時間と感覚に頼るため、再現性を保つのは不可能な器具と言えます。
ただ、再現性が問題になるだけであってコーヒーの「美味しくなる・不味くなる」とは別問題です。
「コーヒー豆を淹れる直前に挽いた方が良いのだろうか?」というのを確かめたい方は、試しに買ってみる候補として“無しではない”とお伝えしておきます。
値段感としては、2,000円台~3,000円前半までなら検討範囲内です。
オススメの候補はコチラ
4,000円を超えた時点で手挽きミルのKINGrinder「P0」が精度面で圧倒的に上回るので、コスト以外でプロペラ式を検討するメリットは無いと言っていいでしょう。
P0はコチラ
コニカル(コーン)刃
現在最も多くのコーヒーミルに採用されているのが、コニカル(円錐)型の刃です。

手挽きミルのほとんどがコニカル刃で、安価な電動ミルにも広く採用されています。
最大の特徴は、製造コストを抑えつつも安定した粉砕力が得られる点です。
手挽きミルの場合は1分間に100~150回転に対して、電動ミルでは150~250回転と手挽きよりも少し速い程度の低速で回転します。
低回転にする事で強いトルク(力)を出し、安価なモーターでも十分な粉砕力を獲得できます。
「低速回転は摩擦熱を抑え、コーヒー豆の香りを守りながら挽くことができる」という解説もありますが、どちらかというとコストカットの側面が強いでしょう。
一方で、更に強力なモーターを用いる事で浅煎り豆をエスプレッソ用の極細挽きにできる家庭用モデルも存在しています。
その代表例が OPTION-O「Lagom Casa」 で、家庭用ながら強力なパワーを持つ数少ないモデルのひとつです。
Lagom Casaはコチラ
- 110,000円 [税込]
2024年にOPTION-Oが新発売した電動コーヒーグラインダーが「Lagom Casa」です。 同社が販売するLagom miniと比べてボディが大きく、重量も増加。 その分モーターパワーが大幅に強化され、パフォーマンスは段違いの設計に進化しました。 またOPTION-Oオリジナルの「Mizen burr」を搭載し、規格も65mmと”家庭用”というジャンルの中では大型の部類です。 浅煎りエスプレッソを想定した設計 Casaは浅煎りエスプレッソの抽出を前提に据えた設計で、浅煎り好きの理想を形にした1台と言えます。 小型でありながら、業…
- 110,000円 [税込]
2024年にOPTION-Oが新発売した電動コーヒーグラインダーが「Lagom Casa」です。 同社が販売するLagom miniと比べてボディが大きく、重量も増加。 その分モーターパワーが大幅に強化され、パフォーマンスは段違いの設計に進化しました。 またOPTION-Oオリジナルの「Mizen burr」を搭載し、規格も65mmと”家庭用”というジャンルの中では大型の部類です。 浅煎りエスプレッソを想定した設計 Casaは浅煎りエスプレッソの抽出を前提に据えた設計で、浅煎り好きの理想を形にした1台と言えます。 小型でありながら、業…
どちらにしても、コスト面を優先する場合にはコニカル刃のコーヒーミルを検討する事が多いでしょう。
風味・抽出の傾向
コニカル刃はコーヒー豆と刃の接触する時間が長い傾向にあり、刃の上部で破壊された後に下の裾刃で段階的に裁断されながら自重落下します。
刃と接触する間に多面体状に削られるため、表面積が増加して抽出が進みやすくなる傾向があります。
結果として、フラット刃よりもコーヒーの”甘い”と感じるキャラメルやローストナッツのような香りが優位になりやすく、質感も重くなる傾向があります。
フラット(ディスク)刃
フラット刃は、円盤状の2枚の刃を水平に組み合わせて豆を粉砕するタイプです。

業務用グラインダーの多くが採用しており、業務スピードに追いつける素早いグラインドが得意。
大抵は800~1,200RPM前後の高速回転で稼働し、コニカル刃より素早く豆を破砕します。
その分一度に複数の豆を破砕するため、コニカル刃のミルよりも強力なモーターを必要とします。
故に製品コストが上がりやすく、家庭用ではパワーの問題から挽き目の範囲が狭い傾向があります。
結論として、家庭用のフラット刃を採用したモデルは「特化した用途」で「スピードを重視」する方に向いています。
風味・抽出の傾向
フラット刃は、回転軸の中心から外側に向かってコーヒー豆を遠心力で飛ばすように豆を破砕していきます。

接触時間が短く、刃の隙間よりも粉が細かくなった時点で排出されるため、板状の鋭利な粉が生まれる点が特徴的です。
故に表面積が総じてコニカル刃で挽いた粉よりも小さく、抽出の効率が低い傾向にあります。
甘い香りや質感が出にくい代わりに、酸などのコーヒー豆由来の香気成分が感じられやすくなるため、あっさりとしたコーヒーを求める方や豆の個性を楽しみたい方にオススメです。
総評・まとめ
再度紹介した内容をまとめると・・・
使用目的 | 向いている刃 | 特徴 |
---|---|---|
安価にコーヒーを楽しみたい | プロペラ刃 | コンパクトで安価。精度は低い。 |
・低価格で味の再現性を重視したい ・幅広い挽き目で試したい ・甘いコーヒーを好む | コニカル刃 | 安価で広い挽き目に対応可能な製品がある。 |
・スピードを求める ・用途を決めている ・コーヒーの個性を求める | フラット刃 | 作業効率に優れ、コーヒー豆のキャラクターを引き出せる。 |
コーヒーミルの刃が変わることで「再現性・風味の傾向・価格帯・汎用性の高さ・作業効率」に違いが生まれることがわかります。
家庭用として選ぶ場合は、まず汎用性の高いコニカル刃を基本に検討してみるといいかもしれません。

その上で、抽出スタイル(ドリップ・エスプレッソ・フレンチプレスなど)や使用頻度に応じて、
自分に合ったタイプを選んでみてください。
もし購入前に「実際に刃の違いを体験してみたい」という方は、当店で各種ミルを比較・試用できる環境や比較セットをご用意しています。

「このミルの比較がしたい」というご要望があれば、コメントやお問い合わせにてご要望ください。