BLOG & INFO

【正しいカッピングのやり方とは?】挽き目・器具の規格からプロが徹底解説!

関西・大阪梅田から1駅の場所で、コーヒー器具専門店・検査機関を運営しているCOFFEE LAB KOMAMEYAの小西です。

皆さんはカッピングの意味や方法についてご存知でしょうか?

シンプルに言えばコーヒー粉を湯に漬けるだけなので、ドリップよりも低コストでテクニックを必要せず、再現性も確保しやすいという抽出方法です。

前回の記事では「なぜカッピングが必要なのか」という点についても、現場で実際に起きた問題をもとに解説したので、詳しくは記事をご確認ください。

前回の記事はコチラ

カッピングはドリップの問題を把握したりコーヒー豆の状態を確認したりと様々な場面で活躍するため、知っていて損にはならない知識です。

今回は「カッピングの準備や方法がわからない」「自分の方法が正しいのか不安」という方のために、フォーマルなカッピング手法を確認しつつ、

  • セミナー
  • CSP取得過程
  • 審査員経験
  • Qグレーダー取得過程

で得た知見も交えながら、実践的なカッピングの方法を解説していきます。

準備物・用意するもの

コーヒーのカッピングにおいては下記のものを必要に応じて用意します。

  • カッピングボウル
  • カッピングスプーン
  • ケトル(ポット・ヤカン等)
  • スケール(キッチン用でも可)
  • メッシュシーブ(篩) ※任意
  • キッチンペーパー等 ※任意
  • 吐き出しカップ ※任意

全て必須というわけではありませんが、揃えることができればカッピングはできます。

カッピングボウルをコーヒーカップにしたり、カッピングスプーンも普通のスプーンで代用したり、コストカットはいくらでもできるため、取り組みハードルは非常に低く簡単です。

後に紹介する工程で準備物の必要性についても解説しますが、よりフォーマルに近い内容にしたい場合は目安となる規格があるため、ご参照ください。

コーヒーミルの挽き目を設定する

カッピングをするためには、カッピングに用いる挽き目を決める必要があります。

その際に基準となるのが、SCAの定めるCupping Protocol(カッピング・プロトコル)に従った挽き目に設定することです。

【補足】旧SCAのカッピングプロトコルは2023年以降にCVA(Coffee Value Assessment)という新たな評価システムに移行し「A System to Assess Coffee Value」にカッピングの実施方法が集約されました。
そのため、正しい認識としては「プロトコル」という名称ではなくなっています。

CVAについてはコチラ

これは絶対的な基準ではありませんが、定量的に挽き目を決められるため「コマンダンテC40の挽き目〇〇」というような、コーヒーミルの個体差によるブレも解決できます。

また焙煎の大会などでカッピングをする際にもプロトコルが使用されることが多いため、もし大会に出ることも考慮する場合には知っておいて損はありません。

The coffee used for cupping shall be ground so that 70–75% of the grinds pass through the 20 US standard mesh sieve (850 µm aperture); this is slightly coarser than typically used for paper filter drip brewing.
参照:A System to Assess Coffee Value

カッピングに使用するコーヒーは、20US標準メッシュふるい(開口850µm)を70〜75%通過する粒度で粉砕すること。この粒度は、一般的なペーパーフィルタードリップで使用される挽き目よりもやや粗い。

【補足】”一般的なペーパーフィルタードリップで使用される挽き目よりもやや粗い”とあるが、どのドリッパーでどのようなメソッドか不明瞭なため「フィルター用の挽き目はこれよりも細かい」と思い込まないよう注意してください。

「20 US標準メッシュふるい(開口850µm)を70〜75%通過する粒度で粉砕」とあるように、少なくとも校正証明のある850μmの篩を用いれば、挽き目は決定可能です。

特に日本では、世界の様々なコーヒー大会で審査委員長・ヘッドジャッジを務める胡元正(Jake Fu)氏が率いるTasters Coffeeの「CUPPING GRIND SIZE SIEVE」を使用するロースターが増えつつあります。

  • 商品について 世界の様々なコーヒー大会で審査委員長・ヘッドジャッジを務め、日本のコーヒー大会でも幾度となく講師を担当している胡元正(Jake Fu)氏率いるTASTERS COFFEE(テイスターズコーヒー)が使用する、カッピングプロトコル用のメッシュシーブです。 コーヒーをカッピングして風味を比較する際には、基本的にSCA(Specialty Coffee Association)が定めるProtocol(プロトコル)に従って粒度を揃えた上で評価を行います。 その際の基準粒度として用いられるのが「アメリカンスタンダードメッシュ#20を…

    TASTERS COFFEE CUPPING GRIND SIZE SIEVE

上記の篩を用いて10gのコーヒー粉を投入し粉がほぼ落ちなくなるまで振とうを繰り返します。

”粉が落ちなくなるまで”という基準は粉体の分級においては再現性を損なう行為ですが、カッピングの挽き目を決める基準が現場でこのように広まっているので”あくまでカッピングに相応しい大体の挽き目を決める”を目的にしているとお考えください。

大体粉が落ちなくなるまでには20分程度は振るい続ける必要があり、その結果7〜7.5gの範囲でコーヒー粉が通過していれば条件を満たします。

コーヒー豆量の決め方

カッピングに使用するコーヒー豆の量は使用するカップの満水量に対する比率で設定することをお勧めします。

一般的に「10gに対し180ml」など聞いたことがあるかもしれませんが、本来推奨される比率は厳密には違います。

これはSCAの「A System to Assess Coffee Value」にて記載があるため、ご参照ください。

The mass of coffee beans to be used per cup is determined by the total volume of the specific cup model. The volume of the cupping vessel to the rim should be determined to calculate the mass of coffee to be used. The simplest way to do that is to weigh out the mass in grams of room-temperature water held by the vessel when it is filled to the rim, and approximate the volume using a density of 1 g/mL water. For example, if the cup holds 250 g of room-temperature water when filled to the rim, a capacity of 250 mL is estimated for such cup.

Once the cupping vessel volume is measured, the mass of coffee per cup is calculated at a ratio of 8.25 g of coffee per 150 mL of vessel capacity. For the sake of brewing simplicity, this is not calculated as a coffee to water ratio, but as a ratio of coffee mass to total vessel capacity, for each cup shall be brewed by adding water to the rim, instead of measuring the water mass. For example, for a cupping vessel with a capacity of 240 mL, a target mass of 13.20 g coffee beans shall be used (240 mL/150 mL * 8.25 g).

The beans for each cup shall be weighed separately, using a scale with 0.1 g or higher accuracy. Due to the mean mass of a coffee bean, a tolerance of ±0.2 g is needed. For example, this means that for the 240 mL capacity cups, a mass of 13.0–13.4 g of whole coffee beans will be weighed out separately.

参照:A System to Assess Coffee Value

各カップに使用するコーヒー豆の量は、使用するカップの総容量によって決定される。コーヒー量を算出するためには、カッピング容器の縁までの容量を測定する必要がある。その最も簡単な方法は、室温の水を容器の縁まで満たした際の質量(g)を測定し、水の密度を1g/mlとして容量(ml)を近似することである。例えば、縁まで満たした際に250gの水が入る場合、そのカップの容量は250mlと見なされる。

カッピング容器の容量が測定された後、各カップに使用するコーヒー量は「150mlあたり8.25g」の比率で算出する。抽出の簡便性のため、この比率はコーヒーと水の比率としてではなく、容器の総容量に対するコーヒー量として計算される。これは、各カップが水量を計量するのではなく、容器の縁まで水を注いで抽出されるためである。例えば、容量240 mlのカッピング容器の場合、使用するコーヒー豆の目安量は13.20gとなる(240ml÷150 ml×8.25g)。

各カップの豆は個別に計量し、0.1g以上の精度を持つスケールを使用する。コーヒー豆1粒あたりの平均質量を考慮し、±0.2gの許容誤差が必要である。例えば、容量240mlのカップの場合、13.0〜13.4gの範囲でホールビーンズを個別に計量することになる。

つまり倍率としては豆1gに対して18.1818…倍の湯が必要ということになります。

そして「なぜカッピングボウルの容量に合わせるか」というと、実際のカッピングではコーヒースケールを使用しないためです。

多数の検体に対し1つ1つスケールを使用するのは物理的に困難なので”カップの縁まで湯を加える”という方法が最も単純で効率的と言えるでしょう。

ちなみに、用意するカッピングボウルの容量と素材の目安もSCAにて記述があります。

Cupping vessels shall be of tempered glass or ceramic material. They shall be between 200 mL and 350 mL, with a top diameter of between 75 mm and 90 mm.

参照:A System to Assess Coffee Value

カッピング容器は強化ガラスまたは陶器製でなければならない。容量は200mlから350mlの範囲、上部直径は75mmから90mmの範囲とする。

現代では樹脂製のカッピングボウルも登場していますが、SCAの推奨では陶器やガラス製が一般的

樹脂製のカッピングボウルは熱伝導率が低く、環境要因で浸漬時の温度が下がりにくいという高い安定性を持つ反面、カップが軽すぎることによるデメリットもあります。

また前述のカップから豆量を逆算する方法だと、容量の多いカップを選ぶと消費する豆量も多くなってしまう点は少々厄介です。

なので、素材の条件を満たしつつ私が推奨するのはORIGAMI(オリガミ)のカッピングボウルです。

  • ORIGAMIのカッピングボウルは、各国で開催されるコーヒーの品評会であるCOE(Cup Of Excellence)にて使用されています。 またSCAのカッピングにおける規格を満たす素材・内径・容量となっているため、コーヒー業界で使用する場合においても最適な製品です。 磁器のすべすべとした質感と透き通るような純白が、コーヒーとのコントラストを引き立て、カッピングにおいても視覚的に楽しめるコーヒー体験を提供します。 スタッキングした際の佇まいも美しく安定度も高いため、使い勝手にも優れた器具と言える…

    ORIGAMI カッピングボウル ホワイト

ORIGAMIはカップ内側の中間地点に2つの目印があり、それぞれ150mlと180mlの目安線となっています。

目印を基準に注湯調整ができるため、少量焙煎などで豆を節約したい方にオススメです。

お湯の注ぎ方

「A System to Assess Coffee Value」においても、お湯を注ぐ工程では「カップの縁まで注ぐ」ということしか記載されていません。

そのため淹れ方が人や店舗によって違う事がある点に注意が必要です。

下記にそれぞれの方法について紹介します。

①水流を作って淹れる

カップの縁付近にお湯を垂直に当てることで、一方向に水流を強く起こす方法です。

動画解説はコチラ

水流が渦を描くように発生することでカップ中央に”質量の軽い濡れていないコーヒー粉”が集中するため、注ぎを外側から中央に移動させるだけで粉を満遍なく濡らすことができます。

渦を巻くという見た目から”映える”抽出と言えますが、注ぐ位置が必ず変わる方法のため乱流の再現性が低いという欠点があり、実用面では推奨はされない難しい方法です。

②真上から投下する

カッピングにおいては最もポピュラーな方法で、再現性も担保しやすい事が特徴です。

そっとお湯を注ぐと抽出効率も下がり、粉が乱流に巻き込まれず乾いた状態で浮いたままになるため、お湯は可能な限り勢いよく投下する事をお勧めします。

流量が制限されたドリップケトルでも注ぐノズルの位置を高くする事で乱流はしっかりと発生し、中央1点で注いでも取りこぼしは発生しません。


上記の理由から、②の方が抽出者のテクニックによるブレのリスクを減らせるため、基本的には②の方法を採用することをオススメします。

スプーンの洗い方

カッピングでは、検体同士がスプーンを介して汚染される事がないように毎動作ごとに必ずスプーンをお湯につけて洗う作業を行います。

洗う際に使用するお湯は、最もフォーマルな方法であれば各検体(写真は5カップが全て同一検体)の前に設置され、異なる検体では共有しません。

しかし実際のカッピング現場においてはコスト・作業面で用意が困難なこともあるため、できる限りの範囲で実施する事を推奨します。

またスプーンの拭い方にも2種の方法があります。

  • カップの縁で拭い切る
  • ペーパーに当てて落とし切る

一般的にはペーパーに先端を押し当てて拭いますが、一部現場ではペーパーを使用せずスプーンを垂直にカップの縁に当てて拭い切るテクニカルな方法も存在します。

ブレイクの方法

コーヒー粉に湯を注いだことにより発生する表層の泡状の箇所を「ドーム」あるいは「クラスト」と言い、それを割る行為を「ブレイク」と呼びます。

ブレイクはコーヒー粉にお湯を注いでから一定時間経過した後に行うのですが「A System to Assess Coffee Value」には下記の通り記されています。

The aroma of the undisturbed crust is assessed, and the crust is left unbroken for at least three minutes but not more than five minutes.

参照:A System to Assess Coffee Value

未撹拌のクラストの香りを評価し、クラストは少なくとも3分間、最大でも5分間は崩さずに保持する。

一般的には4分でブレイクを行う事が多いため、特段意図がなければ4分で合わせておくのが無難です。

また、ブレイクを行う際の規定もあるので確認しましょう。

Breaking of the crust is done by stirring the crust three times, while the vapors released by this motion are sniffed and assessed.

参照:A System to Assess Coffee Value

クラストのブレイク(破砕)は、クラストを3回撹拌することで行い、その際に立ち上がる蒸気の香りを嗅ぎ取り評価する。

表現の内容を確認すると「クラスト」に限定して3回撹拌と記載されています。

つまり、表面のクラスト以外の部分(底に沈んだコーヒー粉)は基本的には撹拌しません

底からかき混ぜる形式はSCAJの「カッピングセミナー」にて紹介され、世界的に見ても日本にしかない(COEではそのような手法を採用した時期は過去に存在した)独自の手法です。
SCAJはSCAとは異なる機関であり、名前は似ていても世界的な動きとは違った方向性を持ちます。

底まで攪拌すると過度に乱流が発生するため、抽出の変数が大きくなり再現性を下げるリスクがあるのです。

クラストを割る場合は、スプーンを半分程度(スプーンの皿が大きいものはもう少し接触を減らす)漬け、下記の2通りで撹拌します。

  1. 手前から奥に移動させる
  2. 円を描くように移動させる

1.の方法は、一度奥に移動させたスプーンは液面から離して再度手前から差し込む必要があります。

手前→奥→手前の順に漬けたままスプーンを移動させると、対流が発生して大きな攪拌を発生させるため、必ず液面からスプーンを離す手間が発生します。

2.の方法であれば流れが一方向のためスプーンを液面から離す必要がなく、スムーズに攪拌を行えます。

上記の方法は人によって異なるため、もしカッピング会などで複数の人間がブレイクする場合はどちらかの方法に統一するべきでしょう。

重要なのはクラスト以外の流体そのものの攪拌を抑える事なので、できる限りゆっくりと落ち着いた動作で作業する事をオススメします。

スキミングの方法

ブレイク後に液体表面に残ったクラストを除去する作業をSkim(日本語で掬い取るなどの意味を持つ)ということから、作業名称をスキミングを呼ぶ事があります。

Once all the cups’ crusts on a table have been broken, the grounds and oils on the surface of each cup are skimmed, using one or two spoons. The grounds and oils are discarded.

参照:A System to Assess Coffee Value

テーブル上のすべてのカップのクラストがブレイクされた後、各カップの表面に浮いた粉と油分を、1本または2本のスプーンを使ってすくい取り除去する。取り除いた粉と油分は廃棄する。

一般的にスキミングは作業効率上2本で行われますが、慣れない場合は1本で始めても差し支えはありません。

しかし厳しいところでは、何度もスプーンを動かすことで意図しない撹拌が発生することを考慮して「スキミングは1回で全部取るべし」という回数制限を設ける場合もあります。

通常は大抵2回程度は許容されるので、1〜2回で取りきるように練習すると良いでしょう。

コーヒーの飲み方について

カッピングにおける飲み方には2通りの方法があります。

  • 自分のスプーンで直接飲む
  • 別の容器に移して飲む

従来は直接飲むパターンが主流でしたが、特に感染症について世界的に厳しくなった時期以降は「Spoon to Spoon」など、直接カッパーの口に触れないカッピングの方法も増えました。

当店でも基本的に直接スプーンから摂取せず、各位のカップに入れて飲む形式を採用しています。

また、飲んだコーヒーは飲み込むか吐き出すことも選択できます。

大量摂取による体調不良を起こすことも十分にあるため、吐き出しを基本動作にする事は健康面から見ても重要です。

その際「Spoon to Spoon」と吐き出しカップを両立するテクニックもあるため、気になる方はコツをお伝えします。

総括・まとめ

今回はカッピングの”方法”に焦点を当てて解説しました。

ですので、どのようにカッピングをするのかはご理解いただけたと思いますが、 より細かいニュアンスやコツなど実際の体験でしか伝えられないものもあります。

例えば・・・

  • 霧状に吸い込む際の強さやコツ
  • スプーンに取る量
  • スプーンの洗い方やタイミング
  • 飲む際の注意点

また、方法はわかっても「香りや味をどのように評価するか」という別の課題もあります。

なので当店では、実際のカッピングの内容から、自身の理想の風味に対して抽出や焙煎をどう改善できるかまで定量化・言語化し、自身で解決するためのトレーニングを実施しています。

大会出場やコーヒーの販売に役立てたい方は、ぜひチェックしてみてください。

不明点やご要望あれば、お問い合わせ・SNSからお気軽にご連絡ください。

〒550-0003 
大阪府大阪市西区京町堀1-17-24
電話番号 / 090-5978-3418

 

営業時間 / 10:00〜19:00
定休日 / 日月祝

 

プライバシーポリシー / 特定商取引法に基づく表記 / 利用規約

Copyright © 2025 COFFEE LAB KOMAMEYA All Rights Reserved.
0 カート